天川村ホイスコーレ2025 Life Exploring 10/25-31
~生と死について思いを巡らす7日間~
緑深く静かな山々に囲まれた天川村で、人間としての自分の存在を見つめ直し、人生における本質的な問い(生と死、生きる意味)に向き合う7日間のプログラム。日本とデンマークから集まった3名の参加者が、それぞれの想いを胸に“Life Exploring”の旅を体験しました。



Day 1 仲間になる
「物語の共有」
今回の探究の旅に参加者それぞれがシェアしたいと思った本を持ち寄り、その理由や感じたことを共有する時間から、午後の対話がゆっくりとスタートしました。そして夜には、焚き火を囲んでの“hygge time(ヒュッゲ・タイム)”。焚火のやさしい炎を見つめながら、笑顔と対話があふれる夜となりました。


Day 2 いのちのものがたり
テーマは「いのちと私たちの関係性」。
午前は「わたしの物語(ライフジャーニー)を描く」というテーマで、自分の人生のターニングポイントとなった出来事(嬉しかったこと・悲しかったこと、生と死にまつわることなど)を付箋紙に書き出して振り返った後、みなで対話を行いました。「自分の価値観やアイデンティティ形成に影響を与えた出来事は?」、「自分にとっての“生と死”のイメージにつながった出来事は?」といった問いをもとに、それぞれが改めてこれまでの人生の物語を深く内省する時間となりました。午後は猪ハンターのまささんから、天川村の森の状況や狩猟全般、ジビエについての話を伺い、「いのちと私たち」の繋がりに思いを馳せました。お話のあとは、猪の角を使ったキーホルダー作り、そしてお待ちかねジビエ料理(猪肉)の試食。みなでいのちの恵みに感謝しつつ、舌鼓を打ちました。夜は焚き火タイム。飛び入りでアーティストライブも楽しめました。天川村に徐々に馴染み、生活のリズムができてきました。



Day 3 いのちの終わりと始まりの体験
宇陀報恩寺での「入棺体験」。
今日は、今回のハイライトの一つである入棺体験を宇陀の報恩寺で行いました。まず、自分の死を具体的にイメージするワークとして、「予想年齢まで生き切った場合」と「突然死した場合」の2つのケースを想定して、それまでに「やりたいこと」を紙に書き出しました。その後、天根住職から、仏教伝来前と後の日本における宗教の役割の変遷や、仏教が死をどう捉えているかなどの話を伺った後、いよいよ入棺体験。5種類の砂時計から時間(1~5分)を選び、棺の中へ。そして、暗闇の中で何を感じたか、感想をみなで共有しました。続けて、生まれた瞬間も疑似体験。母親の産道から出るプロセスをイメージしながら、実際に体を動かして、羊水の中で泳ぐ自分になりきりました。夕方の余白の時間はみなで、大宇陀温泉あきののゆへ。こころと体が整いました。



Day 4 紡がれてきた歴史
天川村の歴史を学ぶ一日。2人のゲストに村の歴史と課題についてシェアしていただきました。午前の今西さんの話からは、天川村でも一番過疎化が激しい西部地区の歴史を聞くだけでなく、熱い情熱をもって未来を作ろうとしている取り組みを知ることで、参加者が自然と自分が作りたい未来について考えることができました。午後の上西さんの話からは、廃校となった小学校が「てんかわ天和の里」として生まれ変わるまでの話や、「すずかけの道」と呼ばれる古道が、かつては大峰山から高野山へと巡礼する人々のメインストリートであった歴史を知ることができました。そして夕方は、洞川温泉でリラックスタイム。



Day 5 自然にたたずむ
プログラムも後半にさしかかり、5日目の午前は近くのシェアハウス「Toyama House」に移動し、対話。デンマークからのゲスト、セシリアさんから4つのサークルを用いた「巡る循環」の話題提供があり、シンプルだけど深い真理を表現した素晴らしいイラストをもとに、リジェネラティブなこの宇宙や自然の循環の話で対話が弾みました。午後はみなで近くの森へ散策に。葉っぱや苔、木々、滝、川など豊かな自然の中にたたずみ、生き物としての自身の生と死に一人ひとりが静かに思いを巡らす時間となりました。夕食前のひとときは、恒例となった温泉へ。今日は天の川温泉木々の湯。



Day 6 祈りとともに未来へ
午前は天川大弁財天社(天河神社)へ参拝に。日本屈指の弁財天信仰の中心地で、芸能・音楽の神として有名なこの神社の創建は飛鳥時代に遡るとされ、役行者・天武天皇・弘法大師空海など、日本宗教史の重要人物と深く結びついた霊場です。芸能関係者の参拝が非常に多く、「芸能の聖地」として全国的に知られています。午後は再び天和の里に戻って、1週間を振り返る対話の時間。そして最後の夕飯は「お別れパーティー」。宿泊旅館「大和屋」ご主人で寿司職人でもあるしゅうちゃんが握るお寿司と料理で別れを惜しみました。すっかり毎晩の行事となった焚火を囲んでの hygge time は、参加者一人ひとりがこの1週間の気づきや学びを振り返る穏やかな時間となりました。



Day 7 わたしのこれから
最終日。一つ目のワークは「My葬式をデザインする」。この1週間の旅路を通して、今の自分が描く「わたしオリジナルのお葬式」を、それぞれがイラストで仕上げ、そのココロを披露しながら対話。二つ目のワークは「未来のわたしへの手紙」。死について深く考えたからこそ見えてくる生の意味、これからの生き方。「私が人生で本当に大切にしていきたいことは?」「自分の生と死をメタファー(比喩)で例えるとしたら?」などの問いを踏まえ、未来の自分宛のレターを綴りました。


おわりに
Life Exploringを通して見えてきたのは、それぞれの人生のものがたり、古来の人々の祈りや伝統、集落での人と人の繋がり、自分の中の新しい感性。ここで過ごした時間が、これからの生き方を考え、その先にある死を照らし出すきっかけになったら…。そんな願いを込めて、また天川の森でお会いできる日を楽しみにしています。
